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人より少し本と空想が好きな私でも、桜が散りかけた頃になると、少しずつ友達が少しずつできるようになった。
志望校に合格し、今年からこの《私立白銀(しろがね)高校》に通う事になったが、期待より少し不安の方が大きかった事をよく覚えてる。
でも、二か月経つと、ようやく馴染めた感じだ。
「じゃあね!栞(しおり)!」
そう言いながら、友達の唯(ゆい)は帰っていった。
「バイバ~イ!」
私の家は、町から少し離れた、少し淋しい場所にある。
父と母は健在だが、先月から2人とも海外赴任している。
“ホント、有名なデザイナーは忙しい…。”
そんな事を考えていた時、ふと、ある庭の一際大きな桜の木が視界に飛び込んできた。
何故か、他の桜の木の花は、もうほとんど散ってしまってた筈なのに、この桜の花だけはキレイに咲いていたのだ。
「きれー。」
つい口に出してしまった、その時…―。
「わっ!ぐっ!あ゛っ!」
「きゃっ!」
木の上から、男の人が落ちてきた。
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