終わりは始まりの調べ

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 いつものように通学路を歩き、普段通りに校門をくぐる。馬鹿みたいに朝から元気な体育教師の挨拶をかわして、生徒玄関へと重い足を運んだ。  生徒に一人ずつ支給されている狭いロッカーのような靴入れ。少し臭うようになってきたが、まだバレンタインデーには早いから大丈夫だろう。  問題なのは一番下にあるため、いちいち屈みこんで靴をとりださなければいけないことだ。億劫だが仕方ない。いつものことなので俺は甘んじて我がたくましき膝を曲げた。そして戸を開き、中から溢れるのは男の匂い、と思ったら違う。
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