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しばらくすると軍人さんから涙が零れ落ちた。
そして倒れている男の人に傷薬と包帯を渡した。
え?
軍人さんは僕たちを撃たないの?
僕は少し驚いた。
軍人さんが僕の首輪にまたその紙を挟んで泣きながら僕の頭を撫でた。
「俺だって…ほんとは戦争なんかしたくないんだよ……」
その軍人さんは銃を地面に置いて去っていった。
あの紙を読んでから軍人さんの行動が急に変わった。
…なんでだろう。
ママはあの紙に何を書いてくれたんだろう…。
あの人は男の人を撃たないで帰っていった。
もしかしたら僕は
他の傷を負っている人たちを
助けられるかもしれない…。
僕は走り続けた。
ママを信じて
自分の限界が来るまで…。
傷を負っている人に寄り添って泣いた…。
その人その人で違う思いが伝わって来て涙に変えた。
軍人さんは皆あの紙を見て涙を流し、銃を置いた。
走りすぎで足ががくがくと震えた。
もう……ダメだよ。
そんな時…。
【シロや、わしは幸せだったよ】
【シロ…よろしく】
【シロ……あなたは私達の家族よ】
お爺さんと軍人さんとママの声が聞こえた。
僕は……
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