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―次の日の朝―
「シロ、シロ」
優しい軍人さんの声が聞こえた。
僕は大きなあくびをして起き上がった。
ママは外で洗濯物を干していた。
「シロ、散歩に行くか」
「ニャー」
僕は軍人さんの後ろに着いて行った。
戦争で建物がいくつか壊れていたけど軍人さんと一緒に歩いてると新鮮で僕は目を輝かした。
しばらく歩いていると僕が追い払われたパン屋さんの前に来た。
「シロはパン食べられるのかな?」
そう言いながら僕を抱き抱えて店に入った。
「パンを一つ下さい」
「はいよ」
パン屋さんがパンを一つ渡して軍人さんがお金を払った。
そして僕らは公園に行って軍人さんが僕を抱き抱えたままベンチに座った。
「シロ、ほら」
軍人さんはパンを小さくちぎって僕に渡してくれた。
僕は夢中でパンを食べた。
軍人さん僕は
あの時のパンの味…
忘れないからね…。
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