二度目

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二度目

名前を付けていなかった、猫 動かない 動かない? 何でだろう 死んだから わかってるよ 触っても動かない 柔らかな感触 あの時と同じ 思考をよぎる 父の死んだ日 固く 冷たくなっていく まだ温かい 冷たさとともに失われる物 触れているのが怖くなった 動かない 動かない 死んでいるから それなのに 悲しくはならなかった あの時と同じ 名前を付けなかったのはきっと   死んだとき、悲しくなるとわかっていたから
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