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「クフフ……恭弥どうしました?」
“恭弥”と呼んだ男の頭を撫でながら、尚も妖しい笑みを浮かべる。
“恭弥”が身に付けているものは大きめのカッターシャツだけで、頚・両腕・両脚に拘束具を付けられ、四ん這いになっていた。
その姿は狗のようで……
男は昔を回想していた。恭弥と出会った頃を……
初めて会った時の自分を見据える澄んだ瞳、細く美しい骨格、トンファー捌き、その全てに心を奪われた。
自分のものにしたい、自分の手で壊してやりたい、と思った。
「む……く…ろ…………。」
ふと聞こえた自分を呼ぶ愛しき声に、回想から現実に引き戻される。
あの頃より少し透明感を無くした恭弥の瞳を見つめ、目元にキスを落とす。
「欲しいんですか…?」
手で恭弥の顎に触れ艶やかな声で聞く。
骸の手さえも快に感じ、恭弥は身を震わせ、もの欲しそうな顔で骸を見つめる。
「ちゃんと自分の口で言って下さい。」
手を顎に触れたまま、唇が触れ合いそうな位置まで顔を近付ける。
「……ほ…し……い…………。」
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