鎮魂歌

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「…ん…はぁ……」 恭弥の甘美な声が空間に響き渡る。 「どうしました?恭弥。今日は格別敏感ですね。首を舐めただけなのに…」 そう言い残すと、辺りに残っている赤い点を指でなぞり舌を這わせた。 舌のザラリとした感触で古傷の痛みが増幅され、恭弥は顔を顰める。 嘗て、恭弥は此処に来るのを嫌がった。そしてこう言ったのだ。 『僕を倒せたら、何処にだって連れて行っていいよ。』 その言葉を唇から溢してから十数分後、恭弥は傷だらけで地面に突っ伏していた。 痛々しいこの紅は、その時のものだった。 プニ…
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