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大きな瞳を更に見開き、慌てて口に手をやる仕草も可愛らしい。
リーリアはそんなニーニを、出会った頃から羨ましく思っていた。
――ニーニと比べるのが間違いなんだろうけど、歳の近い女の子が少ないから……どうしても比べてしまう。
同じ潮風や海水にさらされても、ニーニの髪はフワフワ。
太陽の光で紅色にきらめくのに、私の髪は硬くて痛んでボロボロ。
私の亡くなった父さんも母さんも、写真で見る限りどちらかと言えば美形なのに……目も、鼻も、口も、私だけ平凡。
綺麗でも可愛くもない、だからニーニのように華やかな顔立ちに憧れちゃう。
「……はぁ」
「リーリアも行かない?」
ふと我に帰ると、ニーニがリーリアの顔を覗き込んでいた。
「だからぁ、リーリアも迎えに行こうよ。お兄ちゃん喜ぶよぉ」
ニーニの誘いに頷きそうになったが、ルーマとトーマに両耳を思いきり左右に引っ張られた。
「痛っ!…もぅ、ルーマ! トーマ! 耳がとれるっ」
「あんたには大事な用があるでしょ!」
再び怒鳴られるリーリア、ニーニは二人が居た事にやっと気付きトーマを手の甲に乗せた。
「リーリアには用があるのよ」
「ふぅん。相変わらずリーリアも大変ね」
トーマを恨めしそうに見て頬を膨らませると、手を払った。
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