195人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃ、リーリアまたね!」
ニーニはあっさりと出口に向かって走り出した。
「あっ、ニーニ! お兄さんが帰るの本当は明後日だってサンおじさんが……」
「行っちゃったよ」
「聞こえてないよ」
伝言を頼まれていたのに、と肩を落とすリーリア。
村の出口にある門まで全速力で走ってみたが、疲れただけでニーニの姿は無かった。
「足、早すぎ……」
――そう、ニーニは弓も上手いし足も早い。
いずれは望む道へ進むんだろうし、神兵にだってなれるかもしれない。
そして、素敵な騎士様の目に止まって……なんて私には夢のまた夢。
特大のため息がこぼれ落ちる。
「あんた、また自分とニーニを比べてたんでしょ?」
右肩にいたルーマが突然目の前に飛んで来ると、トーマもぶつかる勢いで横に来る。
「ぼんやりした顔でニーニを見て、何考えてたのよ」
「あんたってコンプレックス持ちすぎよ! 何のためにお宝集めてるか忘れたの?」
ルーマとトーマはリーリアがニーニに対してコンプレックスを感じてる事を知っている。そして、お宝集めをしている理由も。
「うん、そうだね。ごめんごめん」
「あんたは人間にしたらずいぶんマシな方よ。ウチらには敵わないけどね」
ルーマが羽を広げてふんぞり返ると、トーマも腰に手を当てて同じポーズをとる。
「神殿の人間や貴族達なんか、綺麗なのは身につけてる物だけなんだから」
最初のコメントを投稿しよう!