『海の民リーリア』

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  「じゃ、リーリアまたね!」 ニーニはあっさりと出口に向かって走り出した。 「あっ、ニーニ! お兄さんが帰るの本当は明後日だってサンおじさんが……」 「行っちゃったよ」 「聞こえてないよ」 伝言を頼まれていたのに、と肩を落とすリーリア。 村の出口にある門まで全速力で走ってみたが、疲れただけでニーニの姿は無かった。 「足、早すぎ……」 ――そう、ニーニは弓も上手いし足も早い。 いずれは望む道へ進むんだろうし、神兵にだってなれるかもしれない。   そして、素敵な騎士様の目に止まって……なんて私には夢のまた夢。   特大のため息がこぼれ落ちる。 「あんた、また自分とニーニを比べてたんでしょ?」 右肩にいたルーマが突然目の前に飛んで来ると、トーマもぶつかる勢いで横に来る。 「ぼんやりした顔でニーニを見て、何考えてたのよ」 「あんたってコンプレックス持ちすぎよ! 何のためにお宝集めてるか忘れたの?」 ルーマとトーマはリーリアがニーニに対してコンプレックスを感じてる事を知っている。そして、お宝集めをしている理由も。 「うん、そうだね。ごめんごめん」 「あんたは人間にしたらずいぶんマシな方よ。ウチらには敵わないけどね」 ルーマが羽を広げてふんぞり返ると、トーマも腰に手を当てて同じポーズをとる。 「神殿の人間や貴族達なんか、綺麗なのは身につけてる物だけなんだから」  
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