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ルーマとトーマは向かい合って手を合わせる。
「森の妖精王と女王を何だと思ってるのよ! 遙か昔から大地と共に存在する、ウチらの知識と未来視の力を怖れているのか……まるでモンスター扱い!」
リーリアは二人を手のひらに乗せると、伏し目がちに呟いた。
「そうだね。神様や精霊は崇めるのに、こんなに可愛くて友達思いのフェアリーを、モンスターと一緒にするなんて失礼だよね」
「ま、一緒にいるあんたがわかってりゃイイのよ。昔からコーシュ・ワイト族だけは付き合いもあるしね」
「人間に可愛いって言われるのは好きよ。……さぁ、おしゃべりはおしまい。」
リーリアの言葉にすっかり気を良くした二人は、照れ笑いを浮かべながら先導するようにスイスイと森へ続く道を進んで行く。
村の門が見えなくなった頃、別れ道に辿りついた。
神殿に行くのなら案内板通り右に進むのだが、ルーマとトーマは案内板奥の獣道に入って行く。
「ちょっと待って! 神殿はこっちだよ」
「リーリア……歩いて行く気? 何日かかると思ってるのよ」
二人が怪訝そうにリーリアを見る。
「歩くには遠い、そんなに村を離れたら村長達にバレるよ」
「船に乗るにもお金は無い、そもそもウチらは乗れない。……ならどうする?」
「どうする?……って」
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