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一見行き止まりに見える薮をくぐると……確かにそこに泉があった。
しかし、水と言うよりはまるで光の帯。
たくさんの黄金色と白の光の帯が、交互に細くなったり太くなったりを繰り返しながら地上より湧き出て、地上へ還っていく。
リーリアの背丈ほどの高さで、しぶきは火花のようにパチパチと弾けては消える。
「……キレイ」
妖精の泉、その圧倒的な美しさに声を無くすリーリアをルーマとトーマは誇らしげに黙って見ていた。
「説明するわよ、この泉は中に入ると行きたい場所へ運んでくれるの」
「だからってむやみに飛び込んじゃダメよ。どこに飛ばされるかわかんないから、とっても危険!」
「入る前にみんなで手をつないで、頭の中で目的地をしっかりイメージするの……って、リーリア? 聞いてる?」
どさり。
突然リーリアが膝をつき、大きく揺れて地面に倒れた。
「リーリア!」
「ちょっとリーリア!」
慌ててルーマが耳元で呼びかけ、トーマが顔を叩いてみるがぴくりともしない。
すると、倒れた時に泉に触れた左手からリーリアの体が光で包まれていく。
「な……何これ?」
「しっ、知らないよぉ……どうしよう」
光はリーリアの体全体を包み、黄金色と白の渦を描いている。
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