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「そ~じゃなくて! 神殿のお宝よ! お宝っ!」
「あんた何しに行って来たのよ!」
そう。リーリア達は神殿の文使いが村長の所へ来たのを見ていた。
そして、何事だろうと部屋の前で聞き耳を立てていたのだ。
「よく聞こえないけど……しん、せき? アクアブルー?」
「ねぇ。神石って言えば、貴族でも滅多にお目にかかれない、存在すら怪しまれてる……幻の宝石のことじゃない!」
「そんな物が神殿からの文に書いてあるなら……存在するはずよ!」
幻の宝石、名前からしても今まで海に潜って手にしたクズ石に比べたら雲泥の差。
神殿のお宝が手に入るはずなど無いが、一目見る価値はある。そう思って村長達から情報を聞き出せたら……と飛び込んでみたのだが。
「聞けなかったの、ごめんね」
「ごめんね、じゃないよ!」
すかさず二人の、体の割に大きな怒鳴り声が飛んで来て次々にリーリアを罵った。
「あんたバカ? せめてどの辺に置いてあるか聞きなさいよ!」
「おバカのリーリア、神殿がどれだけ広いか知ってるでしょ!」
思わず耳をふさぐリーリアの鼻を、ルーマが引っ張った。
「でも、行くんでしょ!」
「はひ、もちろん」
善は急げとルーマとトーマが出口に向き直った時、背後からリーリアを呼ぶ声がした。
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