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私は黙ってもう一本の傘を差し、彼の上にもっていった。
突然自分の周りだけ雨がやんだのに驚いて彼は振り返った。
「あっ…」
「あ、あの…お釣りお忘になっていたので…それに、雨も…」
「す、すいません…わざわざありがとうございます。」
びしょ濡れになった彼の頬を伝う雨は涙にも見えた。
「彼女、事故で亡くなったんですよ…彼女はショートケーキが好きだったので、こうしてたまに会いにくるんです。」
彼は本当に彼女を愛していたんだなぁと思った。
それから何度か、ショートケーキを買っては、お墓に通っていた彼を見て、なんとか彼の悲しみや寂しさを少しでも取り除いてあげたいと思った私は
「大丈夫、彼女はきっと天国であなたの幸せを祈ってます。だからあなたも元気を出して、頑張って下さい。」
と、励ましの言葉をかけた。
その日以来、私達は仲のいい友達としてお互いのことはなんでも話せるような関係になった。
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