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堅そうな金属で出来た、成人男性の腰程の高さの台。それを――正確にはその上の白色をさらに白くせんと照らす明かり。
まるで手術室のような様相を呈していた。
異様であるのは白色の物体。大きさは小さな子供ほどで、滑らかな白い肌をしていた。なにより特徴的なのは背中の翼と、臀部より伸びる尾。両手足には小さいながらに鋭く、硬そうな爪が伸びていた。
その部屋では幾人もの白衣を纏った男達が台に乗った白色の物体――龍を見つめていた。
白い子龍は台に金属の拘束具と鎖で両手足と首を繋がれ、その体からは幾本ものコードが壁際の機械に繋がっていた。
「こ、これは…!」
一人の男がモニターを見ながら言った。
「…素晴らしい…」
また別の男が言う。
『ボク、は…』
「こいつの力を利用出来れば…我が国は…!」
若い男が老齢の男に向かい希望に満ちた、無邪気な瞳で言った。
それに対し老齢の男は口元を歪ませ、無言で頷く。
『…こんな……逃げ…なきゃ…!』
瞬間、白銀の閃光が放たれる。
「がぁっ!?」
拘束具と鎖は弾け飛び、近くにいた数人の男は抵抗の出来ずに吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。
「なにが起きた!?…クソッ!絶対に逃がすな!探せ!!」
閃光が余韻まで消え去った時…白い子龍はどこにもいなかった。
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