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森の中にある、十人は住めるだろう大きな屋敷から一人の少年が出てくる。
背中には袋を背負い、手には花を持ち、腰の左右には剣を一本ずつ吊っている。
「今日は天気がいいなぁ…」
少年はうーん、と伸びをして微笑むと、森に入っていった。
森の奥へと進み、着いた先。見晴らしの良いそこには、お墓が二つ並んでいた。
「お母さん、お父さん、おはよう。今日はとっても天気がいいよ」
少年―クレスタはお墓に手を合わせながら言った。
しばらくそうすると、立ち上がってその場の掃除をし、持ってきた花を飾る。
一通りの作業を済ませると、また森へ入り、来た時とは違う道を歩き始める。
クレスタは薪にする為に枝を拾い、背負い袋に入れながら歩いて屋敷へと帰っていく。
十分に拾った頃、視界の端に白色が映った。
「ん…?なんだろう?」
クレスタはゆっくりと白色に近づいて行く。
そこにいたのは、白い、子龍だった。
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