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「この…龍は……どうしてこんなところに…?」
クレスタは少し考える仕草をして、されどすぐに首を振って、子龍をそっと抱きかかえた。すると、子龍がもぞもぞと動いた。
「……う、ん?」
「あ、起きた?」
クレスタは腕の中の子龍が起きたことに気が付くと、顔を覗き込んで声をかける。
「…きみは……?」
子龍はまだ寝ぼけているのか、目をこすりつつ、舌っ足らずな口調で言った。
「僕はクレスタ。ここの近くに住んでるんだ。えっと…君の名前は?」
「くぁぁ……ボクはカルス…」
クレスタは簡単に自己紹介を済ませると、首をかしげ、子龍に名前を聞いた。
子龍――カルスはまだ少し眠いのか、あくびをひとつしてから答えた。
「カルスって言うんだね。どうしてこんなところに倒れてたの?」
クレスタは屋敷に向けて歩き出しつつ問いかける。
「どうして…って………っ!?そうだ!離せ!!」
「ちょっとっ…カルス!?どうしたのさ!」
突如カルスは暴れ、クレスタから逃げようとするが、慌ててカルスを逃がさないように力を込めて押さえた。
「離して!早く逃げないと……!!」
カルスはなおも必死に抵抗を続ける。
何がそんなにカルスを追い詰めるのか、クレスタは気にはなったが、この場はカルスを落ち着かせることが先だろうと、必死でカルスを押さえた。
「カルス!!カルスってば!!落ち着いてよ!!なにもしないから!!」
クレスタが大きな声で言うと、カルスは驚いて、ぴたりと暴れるのをやめた。
「…落ち着いた?」
クレスタの声にカルスは少し落ち込んだ様子で頷く。
「それじゃあ、何があったのか、聞かせて?」
クレスタがカルスをゆっくり地面に下ろすと、自らもその場に腰掛け、目を合わせる。
カルスは目をそらすように俯くと、ゆっくりと話し始めた。
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