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ハァッ…ハァハァ……
暗闇の中、私はただひたすらに走っていた。
ひたすらに…、『彼』から逃げるために…。
彼、悠(はるか)は私の恋人だった人。
私たちは、普通のどこにでもいる平凡な恋人同士だった。
何気ない事で笑いあったり、ケンカした事もあったけど、とても幸せな毎日を過ごしていた。
でも、いつからだろう。
悠はとてつもない独占欲を持つようになり、私を束縛し始めた。
私が異性と話す事は勿論、同性の友達と話すことさえ彼は禁じた。
それを破ろうとすると、彼はその友達を様々な手で片っ端から排除してきたのだ。
もしかしたら、悠はすでに狂っていたのかもしれない。
でも、危うい状態を保っていた日常が崩れ、悠が完全に狂ったのは、私が彼に別れ話しを持ち出したあの日だった…。
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