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「おばさぁーん。凛居る?」
朝一番に彼は幼なじみの“御幸 凛”(みゆき りん)の家に久しぶりに飛び込んだ。
「あらお隣に住む凛の幼なじみの榊弘貴くん。凛はもう行ったわよ」
妙な説明口調を怪しみながら残念がる俺の顔を見ておばさんはにやけていた。
「ついにうちの子に手出したのかぁ。だから昨日凛上の空だったのね」
俺は顔を赤くしながらその場を全力で走り去った。
気恥ずかしさから全力疾走したものの勿論長くは持たない。
息が切れて立ち止まった時、俺は背中に強い衝撃を受けた。
「ういっす弘貴。凛ちゃんに手、出したんだってな」
背中の後には耳に衝撃が走った。
「中田明弘君、誤解を招く言い方は止めなさい。それに誰から聞いたんですかねぇそんなデマ。まだ手は出してねぇ」
クールに返すつもりだったが不可能の様だ。
弘貴の神経を逆なでする様に明弘は
「勿論、凛のおばさんに決まってるだろ。ニコニコ身振り手振り付きでな」
弘貴はおばさんに軽い殺意を抱いた。
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