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明弘の体から流れる匂いに気付き、切り返しの言葉を放つ。
「お前だって朝から女といちゃついてきた癖に」
一瞬の沈黙の後、あからさまに不思議な感情を顔に出しながら
「なっ、なんで解ったんだよっ!」
と問い掛ける明弘に弘貴は皮肉を込めた満面の笑みで答える。
「一つ・体から匂う女物の香水の匂い。
二つ・口からミントの匂い。
口臭を気にしてブレスケアでも噛んだか
そして三つ・洗ったんだろうが口の端に口紅が残ってんだ馬鹿野郎がぁ」
明弘はもうKO寸前のボクサーみたいな顔になっているが、そうこうしている間に学校についた様だ。
「口紅落としとけよっ。また無駄に見栄張って振られんじゃねぇぞ」
その言葉を残し弘貴は都立青雲高校の中へと走っていった。
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