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「見栄を張るな見栄を。しかもございますって何だよ」
と俺が言った直後にチャイムが鳴り弘貴と明弘は席に着いた。
一時限目のテストは数学だった。
弘貴はサクっと問題を終わらせ人間観察にふけっていた。
弘貴は和樹の死にそうな顔を見ながら、〔あいつ進級出来んのかな〕
なんて事を考えていると、小さな破裂音と共に人の悲鳴が聞こえ、急に放送が入った。
《事件が起きました。とにかく速く逃げて下さい。周りなんて考えずに逃げて下さい》
次の瞬間新宿のスクランブル交差点の様に皆が走り出した。
教室からは殆どの人が消え、俺、明弘、和樹の三人が残った。
そして弘貴は二人に語り掛ける様に言った。
「何かあの放送おかしくないか。普通はあんなに不安を煽らないだろ」
俺がそれを言い終わると同時に足音が止まった。
その不思議な現象を明弘も感じ取ったらしく、教室から頭を出し向こうを見てからこちらに向けて言った。
「防火シャッターが降りてる……
―――!
しかしその言葉を遮る様に鼓膜を破る様な轟音が響いた。
吹き飛ばされる様な暴風、
校舎ごと崩れた様な揺れ。
そして揺れも収まりきらない内に弘貴たち三人の目の前には、頭部に見覚えのある顔を持つ、誰が見ても一瞬で異常だと解る筋肉量を持つ男が現れた。
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