第四話

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 アルトの態度に関しては、もはやヒトゴトの如くだ。後頭部を撫でながら、種目の発表を気にしている風もない。  そうして、きゃぴきゃぴとしたゴーレムガールが、そのサイズに見合わない小さなメモ用紙をせせこましく摘み、読み上げるようにして宣告した。 『第二戦は……ドォッジブォオオル!』  と情熱的な巻き舌。 『《ドッジボール、レッド&ブルー》ですッ! 一戦目と同様、ボールを使う競技が続きましたー!』  これまた知らない競技である。運営陣がトライアル用として勝手に種目を開発しているだけかもしれない。  という俺の憶測はどうやら見当違いだったようで、セイが知っていた。 「ふむ。ドッジボールか。これはなかなかメジャーなスポーツだぞ。普通は団体競技なのだが。ボールを相手の体に当てるのだ。相手がそれをキャッチできず、落としてしまったら脱落となる」  なるほど。攻撃的なキャッチボールって感じか。なんとなく想像できた。  ただ、セイが言ったのは大雑把なルールであり、次に聞こえてくるゴーレムガールの競技説明はもう少し細かかった。 『最初に支給された赤と青のボールを、ノーバウンドで相手に当てて、先に3ポイントを先取した方が勝者となりまーす』  ここまではまあ、大体セイが説明した通りだ。  しかし、ここからが少々ややこしい。 『青いボールを当てれば1ポイント、赤いボールが3ポイントに相当! つまり、赤いボールは一度のヒットで決着ということでーす。もちろーん、相手にキャッチされた場合はポイントが無効となりまーす! これが前提です! さーらーにー』  今の説明量で既にこの競技はメンドクセェと判定した俺。  とりあえず女の子の声に耳を傾ける。 『アルト選手、足元を見てくださーい。広い円がありますねー? それが自陣です。その自陣から出てはいけません! 出たら失格となりまーす! また、自陣は青いボールとも密接に関係してきまーす』  リングはさほど高くないので、俺の視点からでもアルトが立っている地面に描かれたサークルは確認できる。せいぜい半径3メートルってところか。  そのエリアから、外出不可らしい。  ゴーレムちゃんの説明はまだまだ続く。
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