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『最初に言った通り、青球は1ポイントにしかなりません。ただし、青球は原則として《回避不可能》としまーす! 相手の攻撃してきた青球が自陣に進入したのに関わらず、避けるなどした場合、ペナルティとしてマイナス1ポイントになりまーす!』
以上! と、一気に捲くし立ててきたゴーレムガールはエッヘンという感じでポーズを取った。
最後に、
『アルト選手、質問はありますかー?』
「…………」
長たらしいルールを聞いて、リングに立っている少年は、少し考え込むように口元を押さえている。
そして、おもむろにゴーレムガールの方へ顔を回すと、高い声がここまで聞こえてきた。
「いいの? こんな、無駄の多いルールで」
『ナンノコトダカサッパリー』
おどけるように両手を上げるゴーレムに、アルトは興味薄そうに頷いた。
この競技について、了承したらしい。
「じゃ、やるだけやるか。で、僕が戦う悪魔は?」
『でわでわー、ドッジボール担当の悪魔の登場でーす!』
担当、て。
さしでがましくも、俺からすれば、もうちょっと表現を変えた方が良いかと思うんだけど。たとえばドッジボールに飢えた悪魔とか。心の闇をドッジボールに支配された哀れな……どうでもいいか。
俺たちの前に立ちはだかる98傑集の二番手が現れる。
ゴッドヘッドと違い、登場シーンにこだわりを持つらしいその男は、ゴーレムガールの台詞を待っていたかのようにあちらからダッシュしてきた。
リングに備え付けられた階段を活用せず、巨体を浮かせて壇に飛び乗ってくると、
「ハーハーハッ!」
個性もなく笑っている。
俺もいちいち驚かないが、もちろん大男である。さすがに2メートルもあったゴッドヘッドほどではないものの、走ってきてアルトの前に立つと雲泥と言える体格差だった。
特に二の腕の太さが際立っている。腕の筋肉が異常に発達し過ぎているため、言っちゃ悪いが不恰好な体付き。
「我が名は、《豪腕》ハルザック! 我が投げる球を受け止められた者は、一人としていない!」
イライラしてくるね。こいつにしろゴッドヘッドにしろ、大人げないというか。
いや文句ならこのトライアルを企画した連中に言うべきか。もうちょい老若男女のことを分け隔てなく考えた難関にしろってんだい。
ボールを投げ合うという競技。大人と子どもって時点で、既に多大なハンディキャップが発生してるだろう。
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