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直後には、そこのジュードが渋い声を漏らしている。
「おいおい」
アルトは、運動音痴なのか?
球が遅いのはともかく、まったくひどいコースだ。投げられたボールはハルザックのどの部分にもかすりそうにない、どころか軌道が低すぎて、奴に届く前には地面にぶつかるだろう。
相手も、これには嘲笑するより他はないようだ。
「どこに投げているッ!」
仁王立ちをして、アルトの暴投に動く気もないようだ。
投げられた青球が、ハルザックのかなり手前の陣地に着弾。
バウンドしてきた青いボールを、相手は児戯のように片手で掴む。その表情はさらに嘲りの色を深くした。
そして、
『青球を捕球ミス! ハルザック選手マイナス1ポイント!』
「なにぃいいいッ!?」
ゴーレムガールの審判に思いっきり驚愕している。
アルトは済ました顔で、
「こういうルールなんでしょ?」
あ、なるほど。
俺も「回避してはいけない」という説明のせいで考えてもなかったが。
それ以前に青球は「自陣に進入した場合に必ず捕球しなければいけない」ルールだったのである。
つまり、青球は相手に当てるためのボールではないということなのだ。
敵陣地に落としてポイントを奪うのである。
「我はそんなルール知らぬぞ!」
『98傑集は事前にルール概要を知らされてるでしょー。内容を深く考えないからそーゆーことになるんでーす』
「むむむむむぅッ!」
なんだか、運営陣と98傑集の間にも壁があるようだ。痛憤ままならぬ顔をハルザックが浮かべている。
なにはともあれ。
これでアルトも1ポイントをあっさり返した。
「じゃ、約束どーり、僕の勝ちってことでー」
「待て待てーい! さっきの話はナシだ! 競技の原則を変えてはいけない」
正当化されてしまった。
自分の発言に責任を持たない悪魔の言葉に、アルトは心底めんどくさそうな声を上げる。
「うそつき」
言いながらも、予想通りだったのか、暑くなったのか、上着を一枚脱いで身軽な臨戦態勢に変身している。
ハルザックについては、開き直った様子だ。
「なんとでも言うが良い。お前も小賢しいようだが、最後に勝つのは我!」
競技は続行の方向。
そうすると、確かに、ハルザックの言う通りではある。奴もこれで青球が二つ。つまりアルトのライフをゼロにできる数だった。
再び、少年が不利になったと思える戦況。
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