第四話

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           ★ ★ ★  ハルとアルト。まさに心無い人たちから女子供と侮られそうな天誅戦隊のフレンズが、どうだ見ろ、揃って勝ち星を上げたぞ。  ぶっちゃけアルトまで快勝しちゃったせいで俺のプレッシャーも水面下でウナギノボリを見せている。  んなこた考えないようにして、順調に二連勝中なのだ。  そして次、それこそ「心配御無用」という台詞がこれでもかってほど似合う俺様騎士、ジュード=エイゼリオスの出番となった。  言動がそこかしこにオカシイ男だが、心身共にタフネスそのもの。よほどのことがなきゃ負けるわけもない。  ――と。ここで小説好きの俺の見解なんだが、こういう期待感を詰め込んだ紹介のされ方をした人物は、たいてい、読者の意表を突きたい作家の策略により「よほどのこと」が発生して、負けてしまうものである。  まあ、そんな物語的なご都合が現実世界に反映されることは少なく、ただ俺としてはフィクションな人生だった方が良いと思うんだ。だって、ほら。たぶん、不幸に行き詰まって魔王なんか召喚しちゃった挙句、天誅戦隊とかいうギャグ部隊のリーダーカラーに据えられてしまった苦労性である俺が、どう考えても主人公っぽいだろ? もしも俺が主人公だったら、ほぼ確実に死ぬことはないわけである。たぶんな。もしも悲劇とかだったりしたら、物語の締めくくりに主人公(俺)が死んじゃう演出もあるかもしれないが、しかし、お子様がシキるジェイレンジャーが活躍する悲劇なんてそうそうないと信じたい。  ……と。  そーんな、クダラネー妄想を俺がしていられるほど、ジュードは何事も無く我がチームに勝利をもたらしたのであった。  リアルは結局、リアルでしかないのだ。  俺の妄想期間を、ジュードが勝利するまでのタイムと置き換えても良い。  何せ、ジュード戦ってねーもん。  つまりは、――不戦勝。  その嬉しい結果に、俺様騎士はリングの上で怒号を上げていた。 「ざけんじゃねーぞッ!? テメェそれでも悪魔、っつーか男かよッ!」  98傑集の三番手となるムキムキでパンツ一丁という筋肉を見せ物にしたマッチョマンが、渋い顔で手と首を振っている。 「いや、無理無理。ジュード=エイゼリオスとリアルバウトとか無理無理」 「わあったぜッ! んじゃ俺様、愛剣つかわねッ! それでどうよッ」 「うわ。こえー。そのヨユーが超こえー」  
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