第一章 デリィ村

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予想外の事はあったが二人は気を取り直してその家の中に入る。 見慣れた絨毯、今は時期ではないのですっかりほこり被ってしまった暖炉。 「よし、とりあえず座ってから話すことにしよう。」 そのような物を見渡しながら、アレンたちは村長の指示に従って長掛けの椅子に隣合って座わる。 「お主たちが呼ばれた理由は大方予想がついておる事じゃろう。それはお主たちが今年で十六になるからじゃ。」 「それはずっと前から聞いてるんで、本題に入りませんか?」 アレンはなるべく穏やかな口調で村長に言った。 「そんなに急かしなさんな。物事には順序という物がある。そういう訳で、まだあまり外の事を知らんお主たちに少しばかり旅の心得を教えてやろう。」 確かに外の事についての情報は大人の間だけで交換され、子どもに知らさる事はない。だからアレンたちには知りようがなかった。 それに世界は、今魔界との戦争中。人間は魔物と日々戦っている。外ではいつ魔物が現れるか分からない為、子どもは村の外に出る事を固く禁じられていた。 だからアレンは、村長の話に少し興味が沸いたのだった。
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