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段々暗い路地へと入って行く女性。
不確かな空気を確認する為に進んでいるのだろう。
後ろを振り返らず足音が若干早くなる。
一つ隣の細い道から耳を澄ませる。
男は当然気づいている様だ。
逆に楽しむ様に微かに息が荒い様だ。
女性と男の距離を感じ取りながら、ひたすら精神は冷静になる。
女性が走り出した。
男はスピードは変えず、女性が曲がり角を曲がろうとした瞬間
《ザクッ》
固い壁に何かが刺さった音がする。
音を立てず気配を殺し二人に近づく。
そっと覗き込むと女性が進行方向に顔を向けた鼻先10センチ辺りにナイフが飛んで来たのだろう。
体は微妙に震え、顔が青ざめる。
動けない様だ。
男は長い舌を垂らしながら女性との距離を詰める。
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