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ガタッガタン
自転車置き場で自分の自転車を引き出していると、目の前に進路指導の橘先生がいる事に気づいた。
「高槻どうするんだ進路?もう夏だぞ。今一宙ぶらりんだろ。」
この先生は進路指導でありながら、[やりたくない事を勧めても長く続かない。やりたい事をしろ。]というのが持論であり、生徒の考えを尊重する以外にゆっくりな先生である。
「うーん。今やりたい事が就職にあるのか、大学、専門にあるのか不透明なんです…。とにかく今週中には結論が出そうな気がするんです。」
そうありのままを話すと、先生は若干考えて大きく頷いた。
「わかった。その時は教えてくれ。アドバイスと方向のやり方を伝授しよう(笑)」
親指を前に突き出し、校舎に戻って行った。
僕は自転車に跨り、学校の門をくぐり抜ける。
家までの距離は走って30分。途中の大通りで信号待ちしていると、悲鳴の様な声が、まったく想像していない所から聴こえた。
僕は野次馬本位でその場に行こうと自転車を反転させ様とた。
ガッ
「あっすっスイマセン。」
軽く男性にぶつかり、すぐに謝ると、相手はこちらを少し見、すぐに元に歩き去って行った。
男性の目はとても黒く冷たい瞳をしていて体が固まってしまった。
ハッすぐに人だかりの声により緊縛が解け、場所に向かう。
人混みを掻き分けると、そこには無惨な、顔が判別つかない死体が横たわっていた。
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