プロローグⅠ

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 そして「いってらっしゃ~い」と、たくさんの弟や妹、院長先生に見送られ、5時間の旅をしたのち、先程の地獄に戻る。  もう運び終えた頃には、外もすっかり暗くなっていた。  1通り荷物を部屋の隅っこにかためて、夕飯を兼ねた息抜きにおにぎりを食べる。  いつもご飯をつくってくれてた保母のツバメさんのおにぎり――少し塩っぽくて、とても美味しい。  でも、しばらく食べれないと考えると、いつもより塩っぽく感じた。  いつもチビ達としか絡んでいなかったから、同年代の友人ができるか不安だ。  竹刀を持ってる鬼の熱血教師とか、何かと嫌がらせをする根暗先生とかいないか不安だ。  今思えば、人生で初めて孤独が辛いと思う夜だった気がする。  だが、明日は入学式なんだ。お腹も軽く膨れたところで朝からの疲れもあるし、今日はもう荷物は整理しないでおこう。  春先のくせに、服を絞れば汗がでると思ったくらいよく働いたんだ。  汗の量に比例して疲れたので、各部屋備え付けの風呂に入浴してから寝ることにした。
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