プロローグⅠ

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 ただいま体育アリーナと呼ばれるところで入学式。  こういった式典には古今東西関係なく存在するのが校長の祝辞。  現在、その途中なのだが――、 「今年も綺麗な桜が咲き乱れ――」  尻が痛くなってきた。校長さん、めっちゃ話長ぇ。もう10分経ってるぞ。一人で連続ドラマとか映画が作れんじゃねぇか。 「――また華麗な桜が仄かな香りを漂わせ、まるで海が荒れるよう――」  どんな比喩だ! なんで入学式で桜の話で海が出てくるんだ! 「――うぅ、でも生きていて良かった――」  オレ、もう疲れた。校長の話とそのツッコミに。  無性にくる肩の疲れから、首を動かす意味も込めてオレは周りを見渡していた。  国の粋をかき集められた学校なだけあって、新聞やニュースで見るような各界の著名人達が来客用の席に顔を連ねている。  それでもつまらないものはつまらないもので、それを証明するかのように隅にいる先生は寝ぼけ眼だ。  その気持ち、わからんでもないけど教師として起きとけよ。  なんなんだここは……何度も思うが、やはり゙うさん臭い゙のか。  本当に、この国の将来が思いやられてしょうがない。
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