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「はぁぁぁぁ……」
こんな状況で誰が溜め息をつかずにいられる?
オレには確実に無理だ。自信を持って断言してやる。
……ところで、話は右斜め45゚ぐらい逸脱する。
もちろん、方向を逸らそうと思ったのには理由はある。
その理由というのはさっきの溜め息の後に、背後から妙に殺気のようなものを感じたからだ。
オレは後ろを向くのを一瞬ためらった。だが、背中にチクチクと針を刺されるような視線は痛すぎてどうにも耐えられない。
今まで殺気と感じたことなどないが、これを殺気と言えずになんと言えようか……。
背中に幽霊がいると感づいているにも関わらず、つい後ろを向くサスペンスの主人公のごとく、オレは恐る恐る後ろを向いた。
そこにいたのは青い髪をもつ女の子でとても端整な顔立ちだった。
きっと普通にしていたなら美人あったのだろう……が!
その麗しい少女は殺気に相応しい鬼の形相でオレを睨んでいた。
まるで、視線で人の死線を越させるかのようだ。戦慄を旋律している。
オレは何か悪いことしただろうか?
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