第一章:閉ざした心

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そこには、缶のタブが街頭の灯でかすかに光っていた。 「ダメだよ!実結ちゃん!」 梨乃は私の右手をぐいっと引いた。 「…私には何があったか分からないけど!実結ちゃんがいなくなったら悲しむ人たくさんいるよ!」 「さ…沢木さん?」 「私だってやだよ?実結ちゃんとこれからたくさんお話したいし…」 ぱっと顔を上げてみると、梨乃が泣いていることが分かった。 「…ははっ」 私は思わず笑ってしまった。 そんな私を見て梨乃は不思議そうな顔をしていた。 「これ…」 私は隣にあった缶のタブをつまんで見せた。 「缶のタブだよ」 「…な、んだ…私、カミソリとかかと思って……よかったー…」 そう言って梨乃は泣き叫んだ。 それからかな… 私たちが仲良くなり始めたのは。
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