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そこには、缶のタブが街頭の灯でかすかに光っていた。
「ダメだよ!実結ちゃん!」
梨乃は私の右手をぐいっと引いた。
「…私には何があったか分からないけど!実結ちゃんがいなくなったら悲しむ人たくさんいるよ!」
「さ…沢木さん?」
「私だってやだよ?実結ちゃんとこれからたくさんお話したいし…」
ぱっと顔を上げてみると、梨乃が泣いていることが分かった。
「…ははっ」
私は思わず笑ってしまった。
そんな私を見て梨乃は不思議そうな顔をしていた。
「これ…」
私は隣にあった缶のタブをつまんで見せた。
「缶のタブだよ」
「…な、んだ…私、カミソリとかかと思って……よかったー…」
そう言って梨乃は泣き叫んだ。
それからかな…
私たちが仲良くなり始めたのは。
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