時を越えた巡り合い

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健一の朝は早い、地方市場はその町の食を司る台所である。健一はスーパーから委託を受けて、各店舗に配送しなければならない商品を片っ端から買い付けていく、競争の世界であるので一時も気を抜かれない。威勢よく競りは続いた。  今日の目玉は苺である。クリスマスも近いせいか、誰もが必死になって競り落とす。特に超大粒のハートべリーはプレミアでプロでもなかなか買えない。しかし今日は偶然にも買う事が出来た。形がハート型に似ているから命名されたのですが、今日の物は赤色といい大きさといい、最高にいい苺であった。健一はハートべリーを見つめながら、こんな素敵な苺をプレゼント出来る彼女がいたら、どんなに幸せなんだろうって、暫らくの間、もの想いに耽っていたのは言うまでもない。商品を集めてスーパー行きのトラックに積み込んだ健一は事務所に戻った。 時刻は朝8時30分を廻っていたので、定時出社の24歳になる女性社員の美津子が出社していた。私が椅子に座ると美津代がすかさず近ずいてきた。そして(健一さんお早うございます。 と声をかけてきた。続く
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