雲雀夢

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真っ白い部屋の中 鼻を擽る消毒薬の匂い カーテン越しに伝わる夕日の暖かさ 今、僕は保健室にいる。 何故かって? 使えない風紀委員達の残した書類を徹夜でやって、少し疲れて変態脅して寝てた。 でも、まさか放課後まで寝てしまうとは思ってなかったね。 少し乱れたワイシャツを直しながらカーテンを開ける。 「あ、起きました?」 僕に顔だけを向けた女がいる。 手には僕の学ラン。 「ああ、これっすか?」 僕の視線に気付いたのかヒラヒラと学ランを振る。 「…返して。」 「もうちょい待っててくれます?腕章、破けてんの直すんで。」 そう言って、ニカッと笑った女が、野球部の刀君に似ている気がした。 「…君、名前は?」 「山本純っす。たけ兄がお世話になってます! 来年から並中生になるんでよろしくお願いします!」 そう言って笑う君。 「…そう。風紀を乱すなら例えどんな理由があろうとも咬み殺すから。」 何となく、暖かい気持ちになっていく。 「はい!…出来た!」 そう言って満足そうに腕章を眺める。 僕は嬉しそうにしている君の隣まで行って学ランを手にとる。 「うん。以外だね。」 「ヘヘッ。褒められた!」 「…そうだね。何かお礼しなくちゃね。」 「えっ!?大丈夫っす…」 触れるだけのキス。 「じゃあね。山本武妹。」 僕は顔を真っ赤にしている少女に視線を投げて保健室を出ていった。 …今更だけど、何故あの少女は校内にいたんだろう。 そんな疑問も気にならないくらい、僕の心は暖かくなっていた。 =end= スイマセンっした! 妹がいたのは、武にマネージャーモドキを頼まれて、救急箱の中身が足らなくなって、シャマルの元に来たら留守番頼まれた …的な感じです。 分かりにくい…。
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