迷子知香はママと遭遇!?

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  「ギャア────!!」 パニック状態の知香は、ヒステリックな叫び声を上げる。 「ちょっとぉ! どうすればいいのよ、これ! まさか家の中で遭難するなんて! 救助隊呼べっての!? それとも、ここでのたれ死ぬ!? いやいや、それはない! 写宮くんに助けを求める!? いや! そんな屈辱、耐えられない! 大体、ケータイもなにも持ってないしぃ!」 悶絶しながら、知香は赤い絨毯に手をつく。 「いっ……一体、どうしろって言うのよ……。神は何故、我にこのような試練を……」 「試練?」 泣き言を言っていると、突然 頭上から凛とした声。 「!」 驚いて顔を上げると、そこには紫に百合の花を飛ばした着物を着た、少し年配の女性が立っていた。 年配と言っても、多分30代くらいのまだ若い女性。 胸元に上品に手を置き、心配そうに知香を覗きこんでいる。  
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