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「マジで、迷子んなってんじゃねぇの? ちょっと探しに行く?」
心配そうな面持ちでそう言って、柳は黒いソファから、少し腰を上げた。
「別にいいでしょ。本人があれだけ意気込んでたんだし。ほっときなよ。子どもじゃないんだからさ」
「お前、つっめたいぞ。そんなこと言ったって、この家ん中じゃ、人に会うこともそうそうないのに」
「メイドでも、執事でも、頑張って回ってりゃ、会うんじゃない? なんとかなる、なる」
「お、お前、そんなこと言って……もし、『華江さん』とかに会ってたら、どうすんの?」
柳は、すこし脅えた様子で、写宮に詰め寄る。
すると、写宮までもが顔をこわばらせ、
「そ……、その時は知らない。
・・
あれは、僕の手に負えるもんじゃない……」
と、視線をそらしながら、小さく言い放った。
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