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知香は、畳の上に正座をしながら、目の前で茶を立てる彼女を見ていた。
「足……痺れませんこと? くずしてくださってかまいませんわよ?」
女性のこの計らいで、知香は正座した足をくずした。
すでに、足が痺れている。
「あ、あの……」
「はい?」
女性は、ニコニコしながら、知香に振り返る。
「え、えと……大変、失礼だとは思うんですが……どちら様でしょう?」
一生懸命、口元に笑みを作り、知香は尋ねた。
「まあ! 私ったら、名乗りもしませんで! 申し訳ございません。こちらこそ、大変 不躾なことを致しましたわ」
その女性は、そう言ってくるりと向きを変えると、手をつきながら、深々と礼をした。
「いっ、いや、そんな……」
しどろもどろになる知香。
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