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「柳先輩ー。勉強ばっかしてないで、ちょっとは休憩したらどうです?」
知香が、テーブルの上に参考書やらノートやらを広げ、熱心にメガネの奥の瞳をギラつかせる柳に言う。
柳は、あきれたように困ったみたいな苦笑を浮かべ、
「余裕だね、桜井ちゃん……。嵐はともかく、桜井ちゃんこそ勉強しなくて大丈夫なの? 定期テスト、もう再来週なのに……」
「もちろんです!」
「嘘ばっか……」
「写宮くん、なにか言った?」
心底おかしそうに、口元を小説で隠す写宮に、知香はギッと向き直る。
「いやー、知香さんはたいして勉強もできないのに、余裕があってすごいなぁ、とね」
写宮は嫌味ったらしく両手を広げ、肩をすくめて見せる。
「えー? 別に余裕こいてなんかないよ」
「へえ、そうなんだ」
「当然っ。ナメないでよね」
「だれが舐めるか、気色悪い……」
「小学生の切り返しか!」
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