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そんなくだらない言い合いをしていると、知香がなにかに気付いたように「ん?」と目を見開いた。
「どしたの?」
「写宮くん、なかなかナウい本持ってるんだね。『オタク彼氏』……」
「あぁ、これか。うん、なんかハヤってるらしいから。ネットで買ってみた」
「それってあれよね? 確か彼氏が生粋のオタクで、彼女が振り回される、って話よね」
「そうー」
「おもしろい?」
「んー……、なんか、オタク道に詳しくなれそうかな」
写宮はいったん言葉を切ると、手元のオレンジジュースを口に含んだ。
禁・牛乳期間は、未だ継続を見せているらしい。
「ふぅーん。まあ、写宮くんはオタクと言っても、推理オタクだからねぇ」
おかしそうに笑いを漏らす知香に、写宮は少しだけ不愉快そうに眉根を寄せた。
「なに? ダメなことなの」
「いや、ダメじゃないよ。ただ……」
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