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「あっ、もういいです、いいです」
ペラペラと話し続ける写宮を、ようやく制する知香。
「どうだ? 桜井ちゃん」
イタズラっぽい笑顔を彼女に向ける柳に、知香は、
「うーん、よくわかったわ。さすが変人写宮くん。見事なオタクっぷりでした」
「ちょっと。褒められてる気がしないんだけど」
「「だって褒めてないし」」
「ハモるな! じゃあ、なんのためにやったわけ、僕!?」
「嵐のオタクっぷりを拝見するため? なあ、桜井ちゃん?」
「ですねー、柳先輩」
「………………」
ニコニコと、悪気のカケラさえ見当たらない知香と柳に、写宮はげんなりと肩を落とした。
「勉強……しようかな……」
彼はそう呟いて、「くそぅ」と涙をぬぐいながら、教科書を開いた。
fin.
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