+.. それぞれの入学理由 ..+

8/26
前へ
/30ページ
次へ
-邑嗄サイド-   いきなり後ろから聞こえた静かで落ち着いた女の子の声に、ウチ等3人は振り向く。   そこには、凄く綺麗な女の子がおった。     膝まである長い綺麗な銀髪、   スカイアイブルーの瞳、   左耳にピアスを輝かせて凛とした表情で立つその子。   ものごっつ綺麗やったけど少し、…目付きが悪くて、誰も近寄らせないオーラを放っていた。     「貴女は…?」   亜紀が恐る恐るその子に訊く。     「アタシ?アタシは李樂 灰(いらく かい)」   そう言って灰(←いきなり呼び捨て)は髪をかきあげた。   めっちゃ綺麗な子やなぁ…。   女のウチですらドキドキやわ…。   ウチもついに恋に目覚めたのか?   何や、この胸のチクチク感は…。   これが…、恋心?(←ちょっと待て)     「貴女も1年生なの?」   葵が灰に訊く。   「そうだよ。それより…あんた」   そう言って灰はウチの方を見た。   …ん? ……ん?? ………ウチ?!     「…ウチっすか??」   ウチの声に灰は落ち着いた反応を取る。     「そうだよ、あんたしかいないだろ」   いや、亜紀や葵かと思ったから…。   ゴ、ゴゴ…ゴメンなさい…(←何に謝ってる?)     「あんたさ、1年生の教室探してるとか言ってるけど、馬鹿だよね」   「…ハァ?いきなり何やねん」   灰の言葉にウチは眉をひそめる。   すると灰は驚いたように目を見開いた。     「いや、あんたまさか、気付いてないの? 自分の手に学校の地図持ってんじゃん。右手に注目しとけって」   分かったわ。 右手に注目しとけばえぇんやろ。   とか、ウチは心の中で灰に返答して自分の右手を見てみる。   てん、てん、てん…(←何)   ホンマや!!   いつの間にか地図がある!!(←最初から持ってたんだよ)     「まさかマジに気付いてなかったとか…?」   灰の言葉にウチは苦笑してうなずく。   その直後、思いっきり呆れられた。   亜紀と葵も苦笑いやし。   …ちょ、この空気をウチにどうしろと??     「分かったで!今日ウチ正座占い最下位やったんや!!そうに違いない!」   どうしようもなく焦ったウチは、この結末を今日の占いのせいにしといた。   そんなウチに葵、亜紀、灰が哀れんだ視線を送ったのは、言うまでもない。  
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加