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-邑嗄サイド-
いきなり後ろから聞こえた静かで落ち着いた女の子の声に、ウチ等3人は振り向く。
そこには、凄く綺麗な女の子がおった。
膝まである長い綺麗な銀髪、
スカイアイブルーの瞳、
左耳にピアスを輝かせて凛とした表情で立つその子。
ものごっつ綺麗やったけど少し、…目付きが悪くて、誰も近寄らせないオーラを放っていた。
「貴女は…?」
亜紀が恐る恐るその子に訊く。
「アタシ?アタシは李樂 灰(いらく かい)」
そう言って灰(←いきなり呼び捨て)は髪をかきあげた。
めっちゃ綺麗な子やなぁ…。
女のウチですらドキドキやわ…。
ウチもついに恋に目覚めたのか?
何や、この胸のチクチク感は…。
これが…、恋心?(←ちょっと待て)
「貴女も1年生なの?」
葵が灰に訊く。
「そうだよ。それより…あんた」
そう言って灰はウチの方を見た。
…ん?
……ん??
………ウチ?!
「…ウチっすか??」
ウチの声に灰は落ち着いた反応を取る。
「そうだよ、あんたしかいないだろ」
いや、亜紀や葵かと思ったから…。
ゴ、ゴゴ…ゴメンなさい…(←何に謝ってる?)
「あんたさ、1年生の教室探してるとか言ってるけど、馬鹿だよね」
「…ハァ?いきなり何やねん」
灰の言葉にウチは眉をひそめる。
すると灰は驚いたように目を見開いた。
「いや、あんたまさか、気付いてないの?
自分の手に学校の地図持ってんじゃん。右手に注目しとけって」
分かったわ。
右手に注目しとけばえぇんやろ。
とか、ウチは心の中で灰に返答して自分の右手を見てみる。
てん、てん、てん…(←何)
ホンマや!!
いつの間にか地図がある!!(←最初から持ってたんだよ)
「まさかマジに気付いてなかったとか…?」
灰の言葉にウチは苦笑してうなずく。
その直後、思いっきり呆れられた。
亜紀と葵も苦笑いやし。
…ちょ、この空気をウチにどうしろと??
「分かったで!今日ウチ正座占い最下位やったんや!!そうに違いない!」
どうしようもなく焦ったウチは、この結末を今日の占いのせいにしといた。
そんなウチに葵、亜紀、灰が哀れんだ視線を送ったのは、言うまでもない。
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