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-邑嗄サイド-
「んで亜紀、ウチも教室の場所知らへんから☆」
ウチは亜紀にそう伝える。
すると亜紀は驚いたように目を見開いた。
驚くというより呆れたと言った方が妥当やな。
だってホンマに知らなかったんやもん♪
遭難したわけちゃうんやし大丈夫大丈夫~…と思う。
亜紀は溜め息を吐くと何気なくウチの右手に目をやる。
そして、何かを言いかけようとした。
その時だった。
「邑嗄??」
ウチは後ろから急に名前を呼ばれた。
当然、ウチは反応して振り返るわけで。
振り返るとそこにはウチの親友がおった。
「葵!!」
…杉浦 葵(すぎうら あおい)
幼い頃から親友で一緒に馬鹿な事もやったりする大切な友達。
今回この城華学園を受けようと言ったのも葵で、ウチ等は無事合格する事が出来た。
だから中学校も一緒や♪
こんな素晴らしい事って他にあるだろうか…☆
葵は綺麗な茶色の髪を持ってめっちゃ美人なのに自分の事を「豚の王者」と言う。
まぁ、その度にウチが「どこがやねん!」とか「何でやねん!」ってツッコむねんけどな。
だって葵めっちゃ細いねんもん!
うらやましい体型やで、ほんまに。
「朝からウチに会えるなんてツイとるやん♪」
「邑嗄もウチも合格おめでとー!」
ウチの言葉をサラッと流す葵。
これぞ神業や…(←はあ?)
葵はテンション高めなまま、亜紀の方を見る。
さり気なくいじけるウチを放置して。
「君は初対面だよね!ウチは杉浦葵♪よろしくっ」
葵は亜紀にウインクした。
「どうも。僕は瀬尾亜紀だよ。よろしくね」
亜紀もそんな葵に和やか自己紹介を終了させる。
「んで邑嗄はこんな所で何してたわけ?
こんな可愛い亜紀と一緒で…
まさか逆ナン?!」
「って何でやねん」
完璧なまでのスルーを受けたウチは普段より冷静に、葵の冗談にツッコむ。
我ながら…ナイスツッコミや(←馬鹿か)
「ウチと亜紀がここにいた事の真相はな…
ウチ等1年生の教室分からないから探してんねん☆」
ウチは必要以上に、デカい声で叫んでやった。
そんなウチの発言の直後、
「はぁ?お前馬鹿じゃねぇの??」
と、ウチ等3人の後ろから静かな女の子の声が聞こえた。
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