傷口

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真宏はそう呟くと、先にある、古びたドアを見つめた。 「……なぁ……将……」 「…ん?」 「……俺達…帰れるやんな……」 「……なに言ってんの?真宏…」 将は真宏の肩をポンポンと叩くと、真宏の見る先を見た。 「………ドア……」 見た後、将はそう呟いた。 「……俺達があのドアを開いて…その後…生きてるんかなぁ……」 将は真宏を見つめると、眉をクッと寄せた。 正直な話、そんな保証はできない。 …最初の敷田を見れば、きっと誰もが思ってるはずだ。 ドアを開けば…… ………ほとんどの確率で… ……死ぬかもしれないんだ。 「………」 黙りこんだ将に、真宏は続けた。 「……やっぱり…的場達捜そう……」 「…………え…」 「だって…神崎永遠が…言うてたやんか……出口は自分達の思う所にないって……」 将は真宏の言葉を聞くと、あの時の神崎永遠を思い出した。 「……的場達はそれ…知らんから、今頃ドア開けてるかもしらへん…あの中の誰かが傷ついたり…怪我してるかもしらへん…。」 「………うん…」 「伸だって今頃頑張って走ってんねんから、俺らもがんばろうな!!なっ将!!」 そう言い、笑う真宏に、将も優しく笑いかけた。 「そうやんな!!俺どーにかしとったわ!!…がんばろ!!」 二人はまた、長い廊下を走り出した。 .
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