3041人が本棚に入れています
本棚に追加
―――――――――
――――――――
――――――
――――
―――
―
…
「…ネロが…ネロがぁ…ああぁあ!!!!」
五年前、玄関で泣き崩れる母を、僕…川里イヴは必死で起こした。
母が急に泣き出す姿なんて、初めて見るから、イヴはパニック状態に陥ってしまった。
「……母さん!?どうしたの!?」
どれだけ喋りかけても、母はまともな反応を見せず、狂ったように泣き叫ぶ。
…その光景が、とても恐ろしく感じた。
「…ね…ネロ…ネロが…あああぁあん!!!」
………ネロ?
イヴは母の肩をしっかり掴むと、叫んだ。
「母さん!!!しっかりして!!!ね…ネロが…ネロがどうしたの!??」
叫んだ瞬間、母の肩がピクリと震えた。
母は涙で濡れた顔をイヴに向けると、やっと目がいつものように戻った。
「………母さん…」
「イヴ……イヴぅうう…!!!!」
イヴの胸に飛び込むと、母はまた泣いた。
もう、理解できない。
「頼むから、ちゃんと喋って…」
そう呟くと、母は震える手で、イヴの目の前に、焦げ茶色の便箋を見せた。
「……………?」
.
最初のコメントを投稿しよう!