無限回廊

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  「君は何歳かな?」   「随分分厚いけど、何の本を読んでいたのかしら?」   「七歳で、小学二年生です。この本はギリシャ神話で、僕の宝物なんです」   質問責めに少しイライラしたけど『素直な子供』という印象を植え付けたくて、笑顔で答えた       「光嗣君は本当に賢いんだね。IQテストでも凄い結果を出したらしいし……」   「私達の理想だわ。光嗣君が息子になってくれたら、相馬総合病院の将来は安心ね」   「病院?お医者さんなんですか?」   だとしたら、大当りじゃないか   金はあるし、生活には絶対に困らない       必ずこのチャンスはものにしなきゃ……!       「……失礼。自己紹介を忘れていた。私は相馬総合病院の院長、相馬 満だ。一応外科医もしている」 「妻の麗子よ。ちなみに、私は小児科医だから」       大当り……   この家の息子になったら、きっと僕は幸せになれる!   金持ちだし、上品で優しそう   今までが最悪だったのは、きっと今日からの幸福を味わう為だったんだ……           「すごいです!僕……尊敬しちゃいます!」   可愛く見えるように、満面の笑みで返事をする       その時、驚いたのか、呆然としている院長が見えた       酷いなぁ 僕だって必要な時には笑うさ
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