加村榊

3/6
前へ
/106ページ
次へ
「こいつはカイ。居候だ」 「話は聞いてたよ、弟の榊くん。俺はヴァ━━━」 「ヴァ?」  兄貴はカイの口を手で塞ぐと家の中に入った。 (やはりヴァンパイア…か。何が目的だ?) 「そうだ兄貴に言わなきゃいけないことがあるんだ」  俺は客間に寝るチビ…いや少女を怪我させた事を言った。 「あれ、シル?」  カイは寝ている少女を見るとベッドの横に座った。 「大丈夫、気絶してるだけで外傷はない。でも何でシルが此処に?五年前に別行動してから会わなかったのに」 「五年ってこの子はいくつになるんだ?」 「ヴァンパイアは歳を取らないだろ?」  隠したって何時かはバレるんだ、こうなったらヴァンパイアの目的を聞き出してやる。 「榊?」 「目的は何だ?兄貴に近付いた理由は━━」  カイは首を傾げた。 「理由?うーん、仁と適合者になったから契約をしたから一緒に住んでる?」 「は?」 「だからいい匂いに誘われて血を飲んだら仁がイケニエになった」  もしかして…知らない? 「…それで何で榊はヴァンパイアを知ってるんだ?」  ヤバイ…感情の先走りで俺が一番の間抜けだ。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加