加村榊

5/6
前へ
/106ページ
次へ
 カイは俺の方を指差した、シルも俺を見て頷いた。 「俺は吸われる趣味はない」 「お腹空いてるから頂戴」  武道は習って損は無いと兄貴は言ったがその通りだな。 「逃げるな人間」 「なら攻撃でもするか?」  俺が攻撃しようとしたがシルは襟を掴まれ、俺は兄貴に腹を蹴られた。 「家で騒ぐな」 「初めて仁が強いとこ見たよ♪」 「カイも同罪だ。榊が血をやると思うか?」  兄貴の言葉にカイは首を振った。 「なら私は飢え死にする」 「契約したら血は飲めないのか?」 「契約同士なら血は飲めるが、違う者が飲んだら美味しくない。血が他人を拒む」 「成程、榊に頼んで良いか?」 「何で俺が?」 「榊しか今いないからだ。嫌なら別の方法を考えるが」 「いっそう榊とシルが契約すれば?」  カイの提案に俺とシルは同時に拒否した。 「仕方ない、病院の知り合いから輸血無いか聞いてくる」 「出来るの?」 「本当は出来ないが、榊が嫌なら相談するしかないだろ」  そうでした、兄貴は顔がひろいから俺より…ん? 「私は今飲みたいの」  人の腕を掴むとシルは突然咬んだ。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加