加村仁

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「貴方の血を私に下さい」  突然、なにが起きたのかは俺にも分からない。  バイトから帰ってきて、家の中に入ると白いワンピースを着た女性が俺に『血を下さい』と微笑んでいる。 (俺…疲れてるな……すぐに勉強せずに一時間くらい寝よう………)  女性を無視してソファに腰掛け寝ようとしたが上に何かが乗る感じがした。 「へっ?」 「私に血を…」  幻覚だと思っていた女性が俺の上に覆い被さり首筋を噛んだ。 (…な…何だよコレ?……この女性は本物?)  噛まれている筈なのに痛みはなく、それよりも女性の髪の匂いが気になった。 「この匂い…どこかで?」 「……」 「あれ?何か気が遠く…なって…きた」  俺は、気を失った。  何時間経っただろうか、目を覚ますと女性はいなかった。 「やっぱり…夢か。だよな、俺みたいな浪人生に女が寄って来るわけないよな!…その前に不法侵入だろ…」  俺は気付いていなかった、首筋に出来た刻印に……。
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