加村仁

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「女みたいに叩いてんじゃねぇ」  俺は、力強く青年の腕を握ると自分の腕に痛みを感じた。 「何で俺の腕が痛くなるんだよ?」 「今のお前と俺は主人とイケニエだ。手荒なことをしたら自分にも痛みがいく」  青年は「だから殴れない」と、言った。  結局バイトの時間が迫り、俺は青年を連れて野次馬に一礼してバイト先まで逃げた。  店長に遅れた理由を『突然の親戚の押し掛け』と嘘をついて、青年をカウンターに座らせてバイトを始めた。  客が『可愛いね』『モデル?』とか、老若男女が俺のバイトが終わるまで青年に話しかけていたが、青年はニコニコと笑うだけだった。  その中に病院前の出来事を知っている男も居たが、何故か暫くして『あれ?違うか』と見間違えた言い方をしたから、店長に嘘がばれなくてホッとした。  その後バイトも終わり、俺は夜の道を少年と歩いていた。
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