加村仁

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「やっと終わった。おいっお前」 「…カイだ。お前じゃない」  青年は、また睨みながら俺に名前を教えた。 「カイは、俺を知っているのか?」 「知っている。いつもは病院の人間の血を飲んでたが、最近美味しそうな匂いがしたから行ったらお前だった」 「…俺の名前は、加村仁だ。血ってことは昨日の女性……」  俺は、病院のフレーズである事を思い出した、青年に近付いて衣類の匂いをかいだ。 「そうだ、昨日の女性も薬品臭かった。病院の匂いだったのか……」 「昨日の女は俺だ。俺たちヴァンパイアは、人間の好みの姿に見せて血を吸うんだ。だが適合者が現れたら本来の姿に戻る……何で俺の適合者が女じゃなくて男なんだよ」  カイは、また騒ぎ出した。 「話を聞くから落ち着け!通行人の邪魔だろ?」  俺のなだめにようやく頷いた。 (ガキの世話してる場合じゃないのに…)  俺は、一応病院の近くの公園のベンチに座った。  そして、カイから色々な話を聞いた。
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