加村仁

9/9
前へ
/106ページ
次へ
「これで俺と仁は夫婦になった」  俺は、カイに鏡を渡され刻印を調べた。  刻印は、本当に変わっていた。 「最初の頼みを聞いて貰えるか?」 「何だ?」  真剣な顔でカイが言うので俺は聞いてみると『本来は、一週間に一回だが、力を使ったから血がほしい』と、頼んできた。 「良いよ!」  俺は、ベンチに座った。  カイは、優しく『ありがとう』と微笑み、刻印の上から血を飲み始めた。 (昨日も思ったが、痛くないな……)  そして、また俺は気を失った。 「おはよう。仁、起きないと予備校に遅れるぞ」  俺は、カイの声に目を覚ました。 「何で、カイが俺の家にいるんだ?」  俺が叫ぶと、カイは煩いと耳を塞ぎながら答えた。 「俺達は、昨日夫婦になったんだ。一緒に住むのが当たり前だろ?病院で寝ても血は吸え無いんだ。それに、仁は俺の花嫁だろ?」  ニッコリと言われた、俺の回路は朝からショートしそうだ。 「有り得ない……」  だがこれは現実…俺は、吸…じゃなかった、ヴァンパイアと結婚したのだ。  その証に、とれない指輪が左手の薬指で光っている。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加